「牛乳の売り場に加工乳があるけど、ヨーグルト作れるの?」
っていう疑問について、実際に実験してみます。
一般的によく飲んでいる「牛乳」は、成分無調整牛乳で、ヨーグルトメーカーでヨーグルトを作るのに推奨。
加工乳は、成分無調整牛乳と比べて、価格が安く、牛乳の消費の激しいご家庭にとって、とても経済的。
「加工乳でヨーグルトを作れない。」
と、今まで購入したヨーグルトメーカーに記載がありました。
理由として考えられるのは、生乳100%でない加工乳では、牛乳本来のタンパク質や脂質が少ないから。
実際に、加工乳でヨーグルトを作ると、どのような仕上がりになるのでしょうか。
Rumi
ヨーグルトメーカーのトリセツに加工乳は使えないと記載されているけど、作りたくなるもの。失敗する可能性大だけど、作ったものは責任もっていただきます。
そもそも加工乳って何?他の牛乳との違いは?
「加工乳」と表示された牛乳がスーパーのデイリー売り場で販売されています。
一般的な牛乳(成分無調整牛乳)と比較し、低価格。
加工乳の定義はこちら。
この省令において「加工乳」とは、生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製
引用元:厚生労働省 乳等省令における規定 第二条11項(食品衛生法)
造した食品を加工したもの(成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、発酵乳及び乳酸菌飲料
を除く。)をいう。
Rumi
「生乳を原料として」のため、生乳は100%とは限りません。11項に挙げられた「牛乳」や発酵乳、乳酸菌飲料を除いたものが加工乳です。
加工乳の成分については、こちらにも記載があります。
(7) 加工乳
引用元:厚生労働省 乳等省令における規定 別表二(二)(7)1(食品衛生法)
1 成分規格
無脂乳固形分 八・〇%以上
この規約で「加工乳」とは、乳等省令第2条第 11 項に規定する加工乳であって、重量百分率で無脂乳固形分 8.0%以上の成分を含有するものをいう。
引用元:飲用乳の表示に関する公正競争規約及び同施行規則 第2条6(全国飲用牛乳公正取引協議会)
無脂乳固形分とは、牛乳に含まれる脂肪分以外の水分のこと。
Rumi
もともと牛乳に含まれるカルシウムやビタミンなども、無脂乳固形分になります。
区分 | 乳成分 | 生乳(%) | 無脂乳固形分(%) | 乳脂肪分(%) | 乳固形分(%) | 補足 |
---|---|---|---|---|---|---|
成分無調整牛乳 | 生乳のみ | 100% | 8.0%以上 | 3.0%以上 | 規定なし | |
成分調整牛乳 | 生乳のみ | 100% | 8.0%以上 | 規定なし | 規定なし | |
低脂肪牛乳 | 生乳のみ | 100% | 8.0%以上 | 0.5~1.5% | 規定なし | |
無脂肪牛乳 | 生乳のみ | 100% | 8.0%以上 | 0.5%未満 | 規定なし | |
加工乳 | 生乳+乳製品 | 規定なし | 8.0%以上 | 規定なし | 規定なし | 低脂肪乳無脂肪乳 |
乳飲料 | 生乳+乳製品+乳製品以外のもの | 規定なし | 規定なし | 規定なし | 3.0%以上 | 果汁・コーヒー入り飲料 |
加工乳は、「成分調整牛乳」や「乳飲料」と混同しがち。
それぞれの共通点と異なる点を挙げます。
成分調整牛乳との共通点と異なる点
共通点 | 異なる点 |
---|---|
どちらも、乳脂肪分が規定なし どちらも、無脂乳固形分が8.0%以上 | 成分調整牛乳は、生乳100% 加工乳は、生乳に乳製品を加えたもの |
Rumi
どちらも、乳脂肪分に規定がないため、乳脂肪分の調整が可能です。
低脂肪牛乳や無脂肪牛乳は、成分調整牛乳の仲間。低脂肪乳や無脂肪乳は、加工乳の仲間になります。
乳飲料との共通点と異なる点
共通点 | 異なる点 |
---|---|
どちらも、生乳100%ではない どちらも、乳脂肪分に規定なし | 乳飲料は、乳固形分3.0%以上 (無脂肪乳固形分の規定なし) 加工乳は、無脂乳固形分が8.0%以上 乳飲料は、乳製品以外のものも添加 加工乳は、乳製品のみを添加 |
Rumi
乳飲料は、コーヒーや果汁、カルシウムなど、後入れできます。加工乳の栄養価は、生乳や乳製品に含まれるもののみ。
どちらも、乳脂肪分の調整が可能。加工乳は無脂乳固形分、乳飲料は乳固形分の含有量に決まりがあります。
こちらの記事にも、「牛乳」についての成分をまとめています。
加工乳を使って自家製ヨーグルトを作ってみます。
では、本題です。加工乳をヨーグルトメーカーへセットして、ヨーグルトを作ります。
使用した牛乳は、日本酪農共同さんの「北のおいしさまる搾り」。
種菌は、明治さんの「LG21」です。
Rumi
他のメーカーさんのヨーグルト飲料でも同様の効果がありますが、必ず無糖のプレーンタイプを用意してください。
表示を見ると、「加工乳」と記載。
Rumi
原材料に、「脱脂濃縮乳」、「クリーム」と記載。無脂肪固形分8.0%以上で乳脂肪分が調整されています。
ヨーグルトを作る際、100mlほど牛乳を減らし、種菌を加えます。
清潔にしたヨーグルトメーカーにセットして、8〜10時間あたためます。
あ、うっかり取り出すのを忘れてしまい・・・14時間経過。
「うーん・・・まっしろけ。」
固まっているようにも見えます。
けど、長時間保温していたわりには、ゆるいように思えます。
スパチュラですくってみると・・・
え・・・すくえません。
こんな感じ。固形というよりか、分離した牛乳のよう。
「グチョッ!」
「ベチャッ!」
容器に移すと、ドロッとした液体が流れるような音がします。(変な表現ですみません。)
容器に移し終えた様子。
ヨーグルトっぽい見た目ではあるけれど、スムージーのようなトロミです。
加工乳で作ったヨーグルトは、スパチュラですくうことができず固形のヨーグルトのような仕上がりになりませんでした。
Rumi
失敗したヨーグルトは、わたしが責任もって美味しくいただくことにします。
翌朝、冷蔵庫から出した、加工乳で作ったヨーグルトはこちら。
成分無調整牛乳や成分調整牛乳で作ったヨーグルトほど、トロミがない・・・
けど、固まっているように見えません?
ふだん、成分無調整牛乳のヨーグルトで食べ慣れていると、
「少し柔らかいヨーグルト・・・!」
ゆるいヨーグルトですが、口当たりや滑らかさに問題はありません。
酸味はそこそこありますが、成分調整牛乳や豆乳で作ったヨーグルトよりも弱めです。
Rumi
家族と一緒に食べたのですが、加工乳作ったと言われるまで、全く気付かなかったよう・・・。黙々と食べていました。
好みはそれぞれですが、私の感想として。
加工乳で作ったヨーグルトは、生乳100%じゃないので、牛乳特有のコクが少なめ。
ハチミツやジャムをかけて食べているので家族は気づかなかったと思うのだけど、そのままで食べると何か物足りなく感じました。
加工乳でヨーグルトっぽくなるけど、成分無調整牛乳を推奨。
実験の結果、加工乳でヨーグルトを作ることができました。
ただ、必ず成功するとは限りません。
Rumi
長く温めすぎたり、冷蔵庫で冷やしているときに発酵し、なんとか固めることができたのだと思います。
加工乳で作ったヨーグルトは、液体っぽく、乳飲料で作ったヨーグルトよりも固まりがゆるく感じました。
- 牛乳のコクや素材そのものの味が好きな人
- 牛乳(生乳)本来の味がしたヨーグルトが食べたい人
- ヨーグルト特有の喉越しやなめらかさを求めている人
- 失敗せずにヨーグルトを作りたい人
内容が乳飲料と重複しますが、美味しいヨーグルトを作りたければ、ダンゼン成分無調整牛乳がおススメ!
Rumi
美味しいヨーグルトを食べたいから・・・ヨーグルトメーカーで作るわけで。ケチケチしないで、取扱説明書どおり成分無調整牛乳を選びましょう。
- 牛乳のコストを抑えたい人
- ヨーグルトの味にこだわらない人
- トッピングして食べるのでヨーグルトの味を気にしない人
- 朝にヨーグルトを食べるという形式だけで十分な人
- とりあえずノドを潤したり、おなかを満たしたい人
Rumi
加工乳は、ヨーグルトの原料で使うには失敗しやすいですが、飲む人の好きな味を研究し積み重ねて仕上げた飲料です。味は、とても優秀です。
コスパが良く、牛乳特有の味が苦手な方に加工乳はオススメ。
- 質よりも量を重視したいとき
- 万が一加工乳しか売ってなかったというとき
など、こんなシーンがあったとき、ヨーグルト作りに加工乳をお役立てください。
「加工乳でヨーグルトが・・・固まったかも!」というレポートでした。
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