家庭菜園の残った土を使って、コンポストを始めました。
コンポストとは、家庭の生ゴミを微生物の働きで分解、発酵させて作られた堆肥のこと。
生ゴミをゴミとして捨てず肥料に変える方法で、家庭でできるSDGs(持続可能な開発目標)のひとつです。
家庭の生ゴミを燃やすのに、たくさんのエネルギーを使い、空気中に二酸化炭素を排出します。
集合住宅の我が家にコンポストを取り入れ、1ヶ月以上試行錯誤をした結果、生ゴミを捨てない生活についてどのように変化したのか、レポートしていきます。
おうちでコンポスト作ると家庭だけでなく、環境にもやさしいですよ。
コンポストを家庭に取り入れると、どのように生活が変わる?
お困りママ
生ゴミをそのまま放置するから、ニオイが気になるわ。ゴキブリとか出るのかなぁ?
Rumi
コンポストは微生物の力で発酵させて土を作るため、生ゴミ特有の腐ったニオイは出にくいです。ゴキブリは腐った生ゴミを好みます。
コンポストを作る方法は、とてもシンプルで決して難しいものではありません。
生ゴミと土を交互に被せながら発酵させ、容器一杯になるまで作業を繰り返します。
容器一杯にに生ゴミを投入し適度に混ぜながら、1ヶ月熟成させるとこんな感じ。
ほんのりお漬物っぽいニオイで、生ゴミの腐ったようなニオイはありません!
たっぷり投入された生ゴミは、形を失いサラサラした土に変わっています。これが堆肥。
ずっしりとした生ゴミを微生物の分解によって堆肥に変えることで、ゴミではなく家庭菜園の土として復活することができます。
何より、ニオイが消えてるのにビックリ!袋に入れたまま燃えるゴミの日を待たなくて済みますよ。
私が実践する方法は、庭を持っていないご家庭も手軽に始めることができ、低価格で省スペースのコンポストです。
庭がないけど実践できる!自家製コンポストでわたしが用意したもの
コンポストを作るために、私が用意したものは以下のものです。
- コンポストバッグ(堆肥袋)
- ベランダ菜園で使った土
- 発酵促進剤
- 生ゴミ
- 木酢液
コンポストバッグ(堆肥袋)
コンポスターは、ダンボールの代わりにコンポストバッグを使っています。
ジッパー式の円柱の形をした袋で、約130リットルもの堆肥を収めることができます。
ダンボールコンポストのデメリットは、
- 雨に弱く破れやすい
- カビや害虫が発生しやすい
- 劣化しやすく箱の交換が必要
コンポストバッグは、レジャーシートのように破れにくく、水を弾く素材。
空気の通りを良くし、微生物の分解を促進しやすくするための通気孔があります。
ダンボールは、手に入りやすい一方で、ゴキブリの発生の原因になります。
ダンボールを長期間置くことに抵抗がある方は、コンポストバッグを使った方法が低コストです。
ベランダ菜園で使った土
ベランダ菜園のミニトマト栽培で使った土を、基材にしています。
基材とは、生ゴミを分解させ堆肥を作るための土のこと。
微生物の分解を促進させるための土として効果的なものは以下のもの。
- 腐葉土:枯葉や枝に土の分解を促す微生物が豊富
- もみ殻くん炭:ニオイを抑え微生物の集まりを活発にさせる
- ピートモス:土壌改良で使われる保水性が高い
私の場合、イチからコンポスト用の土を用意すると、土がまた増えそうなので・・・購入していません。(汗)
順調に生ゴミを分解させることができましたが、より効果を上げたいときはコンポストに適した基材を使った方が良いでしょう。
ご自宅の土を再利用してコンポストにする際は、消毒をお忘れなく。
発酵促進剤
市販の発酵促進剤を肥料袋とあわせ買いして、米ぬかの代わりに使用しています。
米ぬかには、糖分やタンパク質が豊富で、微生物の栄養源になります。
コンポストに加えることで、発酵を促進させたり悪臭を少なくする効果があります。
発酵促進材の成分は、米ぬかを原料にしているものが多く、発酵を助ける菌類も豊富に含まれています。
ご自宅に米ぬかがないとき、発酵をより早めたいときは、市販の発酵促進剤を使ってみましょう。
生ゴミ
コンポストの原料で、ご自宅で調理中に出た野菜の皮や食べ残しなどです。
コンポストに入れていいもの、入れるときに注意したほうがいいものがあります。
木酢液
木酢液とは、炭を焼いたときに発生した煙を冷やして液体にしたもの。茶色で燻製の香りがするのが特徴。
原液を30倍希釈(水1リットルあたり約30ml)で表面にスプレーすると、以下の効果があります。
- 土壌内の微生物の活性
- 微生物の発酵促進
- 害虫予防
原液を300倍希釈で植物の株にスプレーすると、植物の活性化にもつながります。
急いで用意するものではありませんが、木酢液は、土壌改良や害虫予防に役に立つ万能薬です。
家庭菜園を始める際に、用意しておくとよいでしょう。
※木酢液の使用方法は、裏面もご覧ください。希釈倍率はメーカーによって多少異なります。
自作コンポストを作る注意点
自作コンポストは、環境面で大きなメリットがありますが、注意することをまとめます。
- 堆肥が作られるまで最低1ヶ月かかる
- 生ゴミを細かく潰す作業が必要
- かき混ぜる手間がかかる
- 分解に時間がかかる生ゴミがある
- 虫やダニ、カビが発生することがある
堆肥が作られるまで最低1ヶ月かかる
生ゴミが熟成し堆肥になるまでの期間は、夏場で1ヶ月、冬場で2〜3ヶ月かかります。
毎日、コンポスターに生ゴミを投入した場合、過去に投入した生ゴミが分解途中のため、熟成期間がさらに延びてしまいます。
コンポスターいっぱいに生ゴミを投入することができたら、さらに1ヶ月〜3ヶ月熟成期間を設けることになります。
生ゴミを細かく切る作業が必要
微生物が分解しやすくするために、生ゴミを細かく切ったり潰したりする必要があります。
玉ねぎの皮や卵の殻は分解しにくい生ゴミで、細かく切っておかないと、時間が経過しても分解を終えていないことがあります。
包丁で野菜を切るだけで手一杯なのに、生ゴミを細かくする作業が加わると、慣れないうちは面倒に感じるかもしれません。
かき混ぜる手間がかかる
コンポスターの中の微生物を活性化させるために、混ぜて空気を送り込む必要があります。
混ぜ忘れたからって失敗するわけではありませんが、マメに混ぜた方が分解速度が早いです。
生ゴミを投入するたびに、かき混ぜることを習慣づけるとよいでしょう。
直で生ゴミをかき混ぜるのがイヤな方は、回転式コンポストを選ぶのも手。
回転式コンポストは、土と生ゴミをセットしてハンドルを回すだけ。手を汚さずスピーディに混ぜる作業ができます。
分解に時間がかかる生ゴミがある
肉や魚の骨、貝殻、果物の大きな種など、分解に時間がかかる生ゴミもあります。
これらをコンポスターに投入すると、分解しにくく堆肥として使うときにまだ残っている場合があります。
堆肥をすぐに使いたいとき、最終的に取り除くことになります。
虫やダニが発生することがある
コンポストには、食べ物の栄養がビッシリ詰まっています。虫にとっては絶好のスポットです。
生ゴミが分解している過程で、ダニやウジ虫、コバエが発生することもありますが、人的被害がない虫がほとんどです。
分解できる生ゴミの量や分解速度には限界があります。
一気に生ゴミを投入すると、分解速度を遅らせてしまい、虫が発生したり悪臭の原因になりかねません。
ゴキブリは、腐敗臭を好みます。
悪臭を放つ前に生ゴミを分解することができたら、コンポストの中でゴキブリに遭遇する可能性は低いです。
水気をよく切り、新鮮なうちに生ゴミを少しずつ加え、適度に混ぜることを心がけましょう。
ゴキブリは、ダンボールのスキマに隠れていたり、家の外から侵入する場合もあります。
あらかじめ屋外用の置き型忌避剤を設置しておくと、遭遇の確率をガクンと減らせます。
生ゴミの分解が進むと、コンポスト内の温度が50℃〜70℃の高温になるため、虫は最終的に死滅します。
虫が発生することは失敗ではありません。虫の発生もコンポストを成功させるためのプロセスだと頭に入れておきましょう。
虫を退治するときは、表面に木酢液でスプレー、殺虫剤を使わないこと!
できるだけ虫と遭遇したくない方は、バイオ式コンポストを選びましょう。
バイオ式コンポストは、電動生ごみ処理機を使って全自動。混ぜる作業も温度管理もボタンひとつで悪臭の失敗も防げます。
コンポストを導入して、わたしが感じたこと
毎日コンポスターに投入し、生ゴミの層が積み上がっていくのを見ると、我が家の生ゴミの量が想像以上に多いことが分かりました。
それを証明したのが、ゴミ袋の大きさ。
45リットルの大サイズパンパンに入ってたゴミ袋が、30リットルの中サイズで足りるようになりました。
正直、生ゴミなんて、自分の手で扱いたいものじゃない!
「うわぁ、生ゴミ、切るの?混ぜるの?!」
コンポストを始めたばかりの頃、ブツブツ言いながら作業することもありました。
「ゴミ捨て場に生ゴミを持っていけば、我が家から生ゴミがなくなる!」
あとは業者さんが処理してくれる、ありがとう、と思っていたのでしょうか。
3295万トン(80.5%)
これ、何をあらわす数字でしょう?
令和元年度、日本のごみ総処理量(4095万トン)のうち、焼却、破砕・選別等の中間処理の段階で、「焼却」処理されたごみの量(直接焼却率)です。
令和元年度の日本のごみ総排出量は、4274万トン(東京ドーム約115個分)で、1人1日あたりのごみ排出量は、918グラム。
ごみ処理事業経費は、2兆885億円。国民1人あたり16400円。
※参考:環境省 一般廃棄物処理事業実態調査の結果について(令和元年度 /令和3年3月30日 発表)
国民1人あたりのごみ処理事業経費を、1袋(5kg・2000円)のお米に換算すると、約8.2袋(41kg)に相当します。
燃えるゴミのうち生ゴミがどれだけ占めるのか調べてみると、私の住む地域のホームページには、30〜40%と記載されていました。
その中には、食べきれずに捨ててしまった食品、手付かずのまま賞味期限切れになった食品も含まれます。
まだ食べられるのに生ゴミ扱いされ、燃やされているのに、こんなにお金が使われていると思うと、もったいない!
SDGsの17の目標のうち、12番目は
「つくる責任 つかう責任」です。
美味しそうに魅せることや真っ赤なミニトマトをたくさん実らせることばかり考えて、
「燃えるゴミの日、マダー?!早く早く〜!」
生ゴミから目を背けていた自分が恥ずかしく感じます。
見えていないところで生ゴミが燃やされることは、回りに回って私たちに返ってくることを忘れてはいけません。
家庭菜園をしている方もしていない方も、コンポストを作ってみて、おうちの生ゴミを積み上げてみましょう。
「くさい・汚い・面倒くさい」から「少しの努力で環境が変わる」へ、生ゴミに対する意識を変えることができたら、大成功です。