一晩寝かしたカレーの落とし穴。家庭でできるウェルシュ菌食中毒の対策を管理栄養士が解説。

「一晩寝かしたカレーのこの旨さ。」

たっぷりカレーが入ったお鍋を置いておくと、1日目のものよりも風味やコク、味がしっかりと増して、美味しいんですよね。

「早く明日にならないかな。」と、カレーを作ったその日からワクワクしています。

そんなカレーが大好きなあなたへ、悲しいお知らせです。

カレーの入ったお鍋を常温のまま置いておくと・・・「ウェルシュ菌」の食中毒が発生しやすくなります。

「え〜・・・一晩寝かして食べちゃいけないの?」

と残念に思ってしまいますが、大好きなカレーで健康を害してしまうなんて絶対に嫌ですよね。

ウェルシュ菌の特徴と正しい対策を行って一晩寝かしたカレーを美味しく安全に食べる方法を管理栄養士の私がご紹介します。

※食中毒は100%防げるものではありません。あくまで対策の知識として頭に入れておいてください。

ウェルシュ菌とはどんな菌?特徴と発生しやすいもの。

一晩寝かせたカレーが食べたいために残しておいたカレーの鍋。

「加熱してグツグツ煮込んでいるのに、カレーで食中毒を起こすなんてあるの?」

ウェルシュ菌を初めて知ったあなたに、どんな菌なのかを解説します。

ウェルシュ菌とは、 酸素がない環境を好む嫌気性菌です。

嫌気性菌には
  • 酸素があれば増えることができない偏性嫌気性菌
  • 酸素があっても生育し続ける通性嫌気性菌

2種類ありますが、ウェルシュ菌は偏性嫌気性菌です。

ウェルシュ菌の特徴は
  • 潜伏期は約10時間
  • 症状は腹痛や下痢など「お腹の痛み」
  • 発生元は、人や動物の腸管、土壌、水中など
  • 集団給食や病院などの大量調理から発生が多い
  • 発生しやすい料理は、煮込み料理

採れたてのにんじんやじゃがいもの土や、家畜(牛、豚、ニワトリ)や魚から検出されることもあります。

スーパーで販売している食品は、出荷前に洗浄、加工、検査を行った清潔なものが多いです。(敢えて土を残している泥つきの野菜もありますよね。)

商品から菌が発生することは可能性として低いですが、おうちでもう一度よく洗って使用したほうがいいですね。

汚染された食材を使って作られたカレーやシチュー、ミートソースなど、煮込み料理から発生します。

主に病院や学校など大量調理で起こるケースが多いですが、ご家庭で大量に料理を作り置きして発生する可能性も十分考えられます。

「いつでもパパッと食べれるように、まとめて作っておこう〜♪」と考えることもありますよね。

作りおきおかずで時間短縮する時は、今からご紹介する正しい保存方法で行いましょう。

ウェルシュ菌のここが厄介!一晩寝かせたカレーが危ない!

外観やニオイで気づきにくく加熱料理だからと油断しやすい

ウェルシュ菌は、カレーなどの煮込み料理から発生しやすいとご紹介しました。

まだまだ信じられない方、いらっしゃるかな?その気持ちもわかります。

  • 加熱しているんだから、菌が死滅したのではないか。
  • スパイスとか濃いめの調味料入っているし異臭かどうか分からない。
  • そもそも見た目からして、傷んでいるように見えない。

このように、ウェルシュ菌は汚染された料理の見た目や色、ニオイなど、目や鼻では判断しにくいですよね。

「加熱したんだから大丈夫!」過信してしまい、口にしてしまうケースがとても多いのです。

加熱をしただけでは簡単に死滅しない。

おにぎりのご飯お弁当のおかずと同じように、

75度で1分以上加熱すれば大丈夫じゃない?」

食中毒菌が死滅する方法のひとつとして「加熱」がありますが、残念ながらウェルシュ菌の場合は通用しません。

ウェルシュ菌の怖いところは、強い芽胞を作る点です。

芽胞とは、100℃以上の高い温度では死滅しないバリアのことです。

このバリアは耐熱性のためちょっとの高温ではなかなか死滅せず、生き残ってしまいます。

芽胞を作っているウェルシュ菌はごく一部で、加熱中に増殖をしたり人体に被害を与えることはありません。

では、いつ人体に被害をもたらすのか?次に行きます。

無酸素の状態を好み、冷めた時に増殖する。

「グツグツと加熱をして煮込んだカレーが出来上がり!」

出来上がったところで、ここで質問。

カレーが出来上がった後、あなたはどうしてますか?

もしかして、火を消してお鍋のまま放置していませんか。

火を消した状態で放置すると・・・お鍋の中のカレーの温度がジワジワと下がっていきますよね。

がっちりと芽胞で守られていたウェルシュ菌が動き始めるのは、この時なんです!

ウェルシュ菌が最も好む温度は40℃〜50℃。この温度帯になると10分につき1回分裂します。

カレーはトロッと重みのある液体で空気が入りにくいのが特徴です。

特にお鍋の中心部や鍋底は酸素が入りにくい場所のため、嫌気性菌のウェルシュ菌にとっては絶好の増殖ポイントなのです。

無酸素状態のトロッとしたカレーをお鍋のまま置いておくと、ウェルシュ菌は増殖を繰り返していくのです。

体内で毒素を発生する

お鍋の中で大量に増殖したウェルシュ菌を口にしまったらどうなるか?

  1. 胃を通過して
  2. 小腸内で数を増やしていき
  3. さらに菌が芽胞を作っていきます。

その後、腸内に達した芽胞から「エンテロトキシン」という毒素が産生されます。

この毒素によって、腹痛や下痢などの症状が起きてしまいます。

「え!カレーでまさかの食中毒?加熱したのに・・・イタタタタタ・・・。」

「一晩寝かしたカレーが美味しい、しあわせー!」

になるはずだったのに・・・まさか食中毒で寝込んでしまうとは・・・。

こんな悲劇を招いてしまわないために、次の対策を押さえておきましょう。

ウェルシュ菌対策は家庭でできる。菌を増やさないポイント。

ウェルシュ菌対策のポイントを5つに分けてみました

  1. 急速冷却
  2. 小分けで保存
  3. 長めの再加熱
  4. 適度に混ぜる
  5. 大量に作りすぎない

急速冷却

ウェルシュ菌を増やさないために、増殖しやすい温度帯を長くしないことが大切です。

室温で長時間保存せず、すばやく粗熱を落とし、お鍋の中の温度を下げましょう。

火から下ろしたら濡れた布巾を敷いてお玉でグルグルとかき混ぜると、温度が下がりやすくなります。

ウェルシュ菌は、高温の状態から常温の状態へゆっくり冷めていく間に増殖します。

温度の下りがゆるやかになると無酸素の状態が長く続くため、増殖を促すことになります。

急速に冷やして、芽胞を作らせないことが第一です。

小分けで保存

メチャクチャめんどくさいけど、小分け容器で分けて保存しましょう。

1回で食べ終える分量を目安にして、複数個に小分けします。

小分けにすることで、温度が急速に低下し酸素が入りやすくなりウェルシュ菌が増殖しにくい環境になります。

保存容器はニオイが気になるから、私はジップロックのような保存袋で小分けをしています。

2〜3日程度で食べ終える場合は冷蔵保存でOKです。

冷凍する際は、1カ月以内で食べ終えるようにしましょう。

ゴロゴロしたにんじんやじゃがいもは、冷凍に不向きです。

冷凍するとスカスカした食感になり、味が落ちてしまいます。

冷凍すること前提で作る場合は小さめに切るか、すりおろして使用するかしたほうがいいですね。

長めの再加熱

再加熱をする際は、具材までしっかりとアツアツなのかを確認、「これでもか!」というくらい長めに温めたほうがいいでしょう。

ウェルシュ菌は、芽胞を作っているためちょっとの加熱では簡単に死滅しません。

また、室温に近い温度帯は菌が侵入しやすいので、再加熱をする時は低温の状態からサッと高温に上昇させることがポイントです。

冷蔵庫や電子レンジで解凍をしたあと温める時は、素早く行いましょう。

お鍋で再加熱をする時は鍋底が焦げやすいので、差し水をし下から混ぜるように温めていきます。

適度に混ぜる

ウェルシュ菌は酸素が大嫌いなので、酸素を増やして減らしていきましょう。

お玉やレードルで適度に混ぜることで、十分対策になります。

混ぜることによって、空中の酸素とカレーが混ざり煮込み料理全体に酸素が行き渡ります。

  • カレーを調理している時
  • 出来上がったカレーを冷やす時
  • 保存したカレーをお鍋を使って再加熱する時

空気に触れさせながら、温度が均一になるようにマメに混ぜましょう。

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2019-02-20

大量に作りすぎない

「一晩寝かせたら美味しいんだけどね・・・」

寝かせて美味しいカレーを食べるもの捨てがたいのだけど、自分の健康の方が大事ですよね。

食中毒のこと考えるとちょっと怖くなってきたという方は、大量に作りすぎないことをオススメします。

お鍋の中の煮込み料理の量が多いほど、ウェルシュ菌食中毒の発生が高くなります。

カレールウの量を半パックにしたり、食べきりサイズのカレーにするなど工夫をすると良いでしょう。

食べきりサイズというとレトルトカレーという選択肢もありますが、調理したカレーを食べたい時はこのような商品もありますよ。

「お肉を焼くだけでおいしいカレーの素」は10分で作れる本格派使い切りサイズのカレー。時短料理だけでなくアレンジにも。

2019-04-11

美味しいカレーを楽しむために正しい保存方法で

「カレー大好きなのに、カレー食べるの怖くなった〜」

「今晩カレーだったのに、どうしてくれるのよー!(怒)」

という言葉が聞こえてきそう。気に障ってしまったら、ごめんなさいね。

でも、国民食だし身近な料理だからこそ、正しい知識を持ち正しい保存方法を知っておくことが大切です。

カレーを食べたあと、お腹がゴロゴロとして調子が悪くなったことありませんか。

食べすぎだと思ったけど・・・「ウェルシュ菌だった!」なんてことも考えられますので、油断禁物。

ウイルスのように嘔吐や発熱はありませんし重症化することは少ない菌です。

ただ、免疫力の弱いお年寄りや小さな子どもが食べる時は、症状を引き起こしやすいのでご注意してください。

「いつもと違って調子が悪いな・・・」と思ったら、お医者様に診てもらってくださいね。

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カレーを食べれば今晩の夕食を乗り越えられるほど、我が家のカレー率の高さもハンパないです。(笑)

けど、カレーも食べ物として生きています。生きるって儚いですよね。

美味しく安全に食べられる期間も限られます。

ご紹介したポイントを守って、一晩寝かせたカレーとお付き合いくださいね。

 

これで今日の夕食が決まる!
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